「胸部大動脈瘤」とはどんな病気?

胸部大動脈瘤は破裂する危険性があり、破裂した場合は死にいたる病気です。
発生部位によって「上行大動脈瘤」「弓部大動脈瘤」「下行大動脈瘤」と三つに分類されます。

上行大動脈瘤

上行大動脈瘤は心臓から送り出された血液が最初に通る、上向きの大動脈が瘤化した状態です。

症状・リスク

上行大動脈に生じた動脈瘤にはほとんど症状が出ません。
したがって、動脈瘤を指摘された場合は定期的にCT撮影を行い、手術の必要な大きさとなった場合に治療が必要になります。
一般的に直径が55mmを超えた状態が手術適応となります。

治療方法

上行大動脈瘤の治療方法は、現在のところステントグラフト治療は困難であり、人工血管置換術が基本治療となります。

人工血管置換術について詳しくはこちら

弓部大動脈瘤

弓部に生じた動脈瘤であり、しばしば脳へ分岐する血管を巻き込むために慎重な治療計画を要する疾患です。

症状・リスク

弓部大動脈に生じた動脈瘤は初めは無症状ですが、拡大することで神経を圧迫し、嗄声(かすれ声)をきたすことがあります。

治療方法

弓部大動脈瘤の治療方法は、下記3つが挙げられます。

  1. 人工血管置換術
    人工血管置換術について詳しくはこちら
  2. ハイブリッド手術
    ハイブリッド手術について詳しくはこちら
  3. 【最新治療】開窓型/分枝型ステントグラフト内挿術
    開窓型/分枝型ステントグラフト内挿術について詳しくはこちら

下行大動脈瘤

症状・リスク

下行大動脈に生じた動脈瘤はほとんど症状がなく経過しますが、瘤が大きくなり、まれに大動脈周囲の臓器(肺、食道)を圧迫すると息苦しさ、食べ物が飲み込みにくいなどの症状があらわれることがあります。
大動脈瘤が破裂した場合、急激な胸や背中の痛みとともに呼吸困難・喀血(かっけつ)・吐血(とけつ)などが出現し、急速に血圧が下がり死亡にいたります。

治療方法

下行大動脈瘤の治療方法はステントグラフト内挿術が主流です。

ステントグラフト内挿術について詳しくはこちら