「人工血管置換術」とはどんな治療?

人工血管置換術とは、いわゆる外科手術です。
大動脈瘤を完全に切除するため、一般的にはもっとも確実な治療効果が得られます。



人工心肺装置

しかし、大動脈瘤に到達するために胸部・腹部に大きな切開を必要とし、かつ、さまざまな重要臓器(脳、脊髄、心、肝、腎、腸など)につながる大切な血管の上流箇所で、大動脈の血流を一時的に止める必要がある場合が多く、その際には人工心肺装置を用いていろいろな臓器に血液を送りながら手術を行う場合があります。
このため患者さんの身体への負担が大きい治療法であり、高齢者や他の病気をお持ちの方では、手術による体力低下や手術後の臓器障害をきたす可能性が高くなります。

部位特有の治療留意点

上行大動脈瘤の場合

人工心肺装置を用いた上で、体温を低下させた状態で拡大した上行大動脈を人工血管に置換します。

弓部大動脈瘤の場合

脳へ分岐する血管も再建する必要があるため、脳保護を行いながら手術を行う必要があり、脳梗塞の回避が重要です。

大動脈解離(Stanford type A)の場合

Stanford type Aの場合、一時的に心臓を止めて人工心肺装置を使う必要があり、現状では上行大動脈についてはステントグラフトでは治せないため、人工血管置換術を行うしかありません。

治療に人工血管置換術を選択することがある疾患

胸部大動脈瘤 胸腹部大動脈瘤 腹部大動脈瘤 大動脈解離