大動脈弁閉鎖不全症だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう」とはどんな病気?

心臓を構成する4つの部屋のうち、全身に血液を送り出す左心室の出口にあるのが「大動脈弁」です。
大動脈弁は、一度全身に送り出した血液が心臓側に逆流しないようにするための扉の役割を担っています。
この扉がうまく機能せず心臓の内部に血液が戻ってしまう状態を「大動脈弁閉鎖不全症」と言います。
この状態になると、心臓が全身に必要な量の血液を送り出すのに通常よりも大きなエネルギーを要するようになってしまい、少し身体を動かしただけで動悸や息切れがするようになります。


正常な大動脈弁

閉鎖不全症の大動脈弁

正常な大動脈弁(拡大版)

閉鎖不全症の大動脈弁(拡大版)

映像提供:エドワーズライフサイエンス

症状とリスク

大動脈弁閉鎖不全症になると、階段を登ったり平地を早歩きした時に息切れや動悸が出現します。
これらの心不全症状は徐々に悪化し、最後は入退院を繰り返して苦しみながら死にいたります。
心エコー検査で重症と診断されても自覚症状がない場合もありますが、これは徐々に病気が進行するため患者さんの感覚が症状に慣れてしまったり、息切れや動悸は高齢では自然なことだと患者さんが誤解している可能性があります。
手術をして劇的に症状が改善し「今まで無症状と思っていたけれど、全然違った」とおっしゃられる方も珍しくありません。

検査・診断方法

大動脈弁閉鎖不全症を見つける方法としてまず手がかりになるものは聴診です。
かかりつけ医の聴診で心雑音を指摘された場合は、専門医の診察を受けましょう。
確定診断に必要な検査は心臓超音波検査(心エコー)です。
この超音波の検査でどれくらい大動脈弁がうまく動いていないか確認することができます。
また心臓の機能がどれくらい悪くなっているかも確認することができます。
この超音波の検査で重症と診断された方は手術による治療を行うことを推奨されます。

大動脈弁閉鎖不全症の心エコー所見


大動脈弁を横からみた画像
逆流ジェット発生前

大動脈弁を横からみた画像
逆流ジェット発生後